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手すきの紙と遊ぶ – 数寄和

手すきの紙と遊ぶ

数寄和大津

前期 2007/8/24 – 9/10
後期 2007/9/14 – 9/30

数寄和

2007/10/3(水) – 10/31(水)

 

中国で生まれた紙は、人類の文明の発達にとって欠かせないものでした。
文字の発明によって情報の伝達が効率化されましたが、さらに紙の発明は情報伝達の範囲を飛躍的に拡大したということは想像に難くありません。
日本人と紙との長い付き合いの中で、美と用を調和させた紙の利用方法は自然と共に生活する日本人の精神を反映しています。
日本画の若い作家達に、手漉きの紙に制作していただいたことで過去の画家の工夫が再発見出来るかも知れません。今昔を結ぶ、紙に描かれた現代作家の作品をどうぞご高覧下さい。

 

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東京展風景

 

出品作家

磯部光太郎 岩崎絵里 海老洋 兼若和也
神戸智行 斉藤佳代 清野圭一 関田比佐子
高田学 竹林柚宇子 田島周吾 直海香
中原麻貴 長谷川雅也 三輪真 若山卓

 

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大津展風景

 

作家感想

磯部 光太郎 [楮紙]

紙が美しくて上品なので紙の地を生かして制作した。個人的には気に入っています。紙が薄いのでパネルに直接張り込むと木の色が画面に影響するのでパネルに白の色が強い紙を張って和紙本来の色を見せた。

岩崎 絵里 [楮紙]

紙の透けを利用。表からの彩色を極力少なくし、裏からの彩色をベースに制作。手漉きの紙は色の発色がよいと感じた。筆のすべりを邪魔せず、素直に動かせた。

海老 洋

紙による発色がよく、強いということに驚いた。しっとりとしていてとても快い。洗ったりすれたりしたときの毛羽立ちが少なかった。

兼若 和也

ドーサは多め、膠はうすめにひきました。破らないように気をつけました。墨ののり具合がよかった。また、筆のタッチもよかった。

神戸 智行 [書画用 楮紙長判と雁皮紙]

紙の本来持っているあたたかさや表情を大切にしたい。支持体である紙を見直すことにより、表現の幅やイメージが広がる。

斉藤 佳代 [書画用美濃楮紙]

手漉きの紙の強さにはとてもおどろいた。自分の仕事をしっかりと受けとめてくれる素材に出会ったと思っている。うまく対話できれば完成度ある作品ができる様な気がする。

清野 圭一 [楮紙 漉き:加納武]

薄い紙なので制作の40%くらいは裏から行ってみました。銀箔、金箔を裏からおしています。美しい紙なので、ドーサが効いていれば紙の質感を活かした表現が可能かと思われます。

関田 比佐子 [楮紙 4匁 那須楮]

自分の描き方は、絵の具を洗ったり削り取ったりしますので、かなり紙に負担をかけてしまうのですが、ビクともしませんでした。紙の強靭さに驚きました。

高田 学 [書画用楮紙 那須楮]

ドーサを引く前と後で、紙の硬さ(しなやかさ)が変化するのが、雲肌麻紙よりわかりやすかった。裏彩色、裏箔などの技法を使い、裏が透けるほどの透明感をもつ紙の特徴を何とか生かしたいと思った。

竹林 柚宇子 [楮雁 2006年製造]

手漉きの紙は、それ自体が美しいのでそこに何かを描くのに苦労しました。汚しているような感覚が拭えなかったです。なので、紙自体なるべく手を入れず、その美しさをそのまま見せるようにしました。

田島 周吾

手間と根気でもって造り出される美しい肌合いのある和紙であるからこそいつもとは違う感じで製作できた気がする。

直海 香 [楮・雁皮紙]

まごころ込めて漉かれた紙だからこそ、まごころを尽くして描こうと自ずと思いました見た目のまま、筆運びも滑らかで、描いていて心地良かったです。

中原 麻貴 [書画用 楮・雁皮紙]

紙にスーッと入り込むように感じた。絵の具のすいこみが良い感じ。刷毛を使うときにいつも感じない柔らかさ、やさしさを感じた様に思う。やさしい表現をしようと思った。

長谷川 雅也 [楮紙 2005.4製造]

紙の質により、発色の違いもある事を痛感したので、絵の具の色をそのまま出してくれる様薄塗りを心掛けた。紙そのものが持つ力と発色を活かす事の大切さに気づいた。

三輪 真 [薄美濃楮と那須楮紙]

生の紙に描くと、薄いので染み込ませる絵の具の量を多く出来ない。ドーサをひいた紙の上に絵の具を乗せるのも、紙の繊細さを生かすには厚塗りできない。

若山 卓 [楮紙 2005と2007年製造漉き:加納武]

「繊細・洗練」という当初の印象を途中から改めた。「洗練」というよりも、プリミティブな生々しい強さ、生命力がある。杉板のような。杉板と違うのは非常に緻密である点。「力」のある紙だと感じた。

 

*すべて加納武による漉き和紙(美濃)