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絹に描く1 及川聡子展「薄氷」 – 数寄和

絹に描く1 及川聡子展「薄氷」

数寄和

2010/2/27(土) – 3/7(日)

数寄和大津

2010/3/13(土) – 3/22(月祝)

数寄和オープニング 2/27(土)17:00より
数寄和大津オープニング 3/13(土)16:00より

 

繊細で透明感溢れる作品を描く及川聡子の展覧会を開催致します。
今展では絵絹に制作して頂くことで、艶が生まれたように感じます。
静かに自然を見つめる眼差しをぜひお楽しみ下さい。

 

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展覧会企画について

2007・2009 年と「手すきの紙と遊ぶ」という展覧会を企画してきました。
現代の日本画は紙を基底材としての制作が主流です。そのような中で作家やお客様と接する中で、 「よい紙がありませんか」と相談を受けることが徐々に増えていることを感じていました。表具に 携わるものとして、またギャラリーとして、作家や作品の収集家とのやりとりの中で、良い紙とは どのようなものかを探り、試用して頂くことを繰り返してきました。作家にはその紙をお使いいた だくことで、制作への意欲とより豊かな表現の可能性を感じました。そして作品の保存状態に安心 していただける。それらは日本画の未来と、それを支える職人達の未来を繋いでいくことになると 考えます。
「絹に描く」という副題を設けた今回の展覧会も、先の展覧会と同様の意図を含んでいます。 近年、絵絹に制作する作家が少なくなりました。絵絹自体の生産も減少しつつあります。 公募展や団体展では大画面の作品が求められ、厚塗りの作品が増える傾向がありました。 それらを可能にする、大きく、丈夫で、取り扱いやすい紙は魅力的な存在です。徐々に日本画とい えば麻紙が使われるようになっていったのです。
しかし絵絹は、枠に張ったときの筆・刷毛を受け止める僅かな弾力や、しとやかな光沢、制作時の 丈夫さと平滑な画面を持ちます。例えば平安期の仏画のような、明瞭な線。また横山大観の雲海の ような、大きく豊かな暈かしの表現。それらは先人達が絹を見事に生かした一例です。素材を生か した日本画を美しいと感じるならば、無くしてはならない素材と技法であると思われます。生活環 境が変わり、紙・絹・膠・絵具などの素材だけでなく、筆や刷毛への要求も減っています。それら の製作者を支えることもままならず、技術が失われていくことに危機感を感じています。回顧的に 絵絹を使った美しい作品を求めている訳ではありません。現代に生き精力的に制作している作家達 に挑戦していただくことで、表現の再確認と新たな可能性を作家自身の中に発見し、それらを絵絹 表現の可能性として提案・発信できればと考えています。

 

及川聡子展について

及川はこう言っています。 「・・・足を止めて、何かを凝視すると、すっかりと納得していたはずの答えをするりと外して、 謎に満ちた魅力的なものに変貌していく。意味や答えや決まり事を、ひっくり返そうとムキになる のではなく、むしろ、本来のそこに在るものをまっさらに見つめること、それが表現の源だと思う。 ・・・」
それはモチーフだけでなく、作品を成しているすべてにおいてだと作品を前にしたときに感じるの です。絹は及川にとって慣れない素材ではありましたが、自身が持つ素材に対する感性と技術、表 現への探究心、私たちの持つ知識とやり取りを繰り返しながら、及川自身も絹に魅力を感じ、のめ り込んでいったように見えます。近作に「薄氷のシリーズ」として制作を続けている及川は、これ まで麻紙を基底材として制作を続けてきました。墨と胡粉を中心に少ない素材で表現される画面は、 絹に描かれた時、新たに艶を持ち、音をも吸い込みそうなより静かな画面が生まれたように私たち は感じます。紙の表面だけではなく、内側のわずかな空間をも思い、呼吸に合わせて墨を運び、水の揺れと身体 を近づけ描く及川が、糸で織られた半透明の新しい素材を手に入れどのように展開したのか。

 

及川聡子

1970 年宮城県生まれ
1993 年に東京造形大学造形学部美術学科Ⅰ類を卒業
1995 年に東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程を修了
2003 年に文化庁新進芸術家国内研修制度で阿方稔先生のもとで研修
2005 年に宮城県芸術協会の会員となり、近年は宮城の身近な自然を静かに見つめ、繊細で透明感溢れる作品を描く

1996 年に創画展に入選。宮城県の美術展を中心に出品・受賞
2004年に佐藤美術館(東京)にて個展を行いました。2008 年にVOCA 展、第4 回日経日本画大賞展に入選

 

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