数寄和 |
2017/10/1(日) – 10/8(日) |
数寄和では2015年に河村正之、岸本吉弘、細川貴司、吉川民仁の4名による絵画展「秌韻」を開催しました。
今展はその続編として、4作家の個展を連続して開催します。
絵画展「秌韻」に寄せて
ジャクソン・ポロック《Autumn Rhythm(秋のリズム)》という名作がある。作家が付けた題名は《Number 30》と素気なかったが、10月の作であることからこの詩的なタイトルが付加された。黒、白、茶色の塗料の滴りが、画面全体に律動する抽象絵画。そこに秋空の明るい陽射しや紅葉する木立のざわめきを連想したとしても、あながち誤りとはいえない。奥行きのない平坦な色面だからこそ、広がる大地や無限の宇宙を感じさせてくれる。日本画のような花鳥風月といった主題を描かなくとも、自然の本質に迫る方法はいくらもあるのだ。数寄和「秋韻」で展観される4人は、いずれも油絵から出発し、絵画の成り立ちに遡ることで、それぞれの世界を開拓してきた画家である。彼らに比較的共通するのは、絵画の表面が放つリアリティへの関心であろう。透視法的な空間を前提とせず、表層としての物質から立ち上がる視覚的体験が重視される。これらの絵画に垣間見える自然と対話できることが楽しみである。
武居利史(府中市美術館学芸員・美術評論家)
Ⅱ期では河村正之の作品を展示いたします。
是非お越しください。
「神殿-2」 1303×1621㎜ (100号) キャンバス、樹脂テンペラ、油彩 2015~2017年
河村正之 KAWAMURA , Masayuki
1955.3 | 山口県防府市に生まれる |
1980.3 | 東京芸術大学 美術学部 絵画科油画専攻 卒業 |
1982.3 | 同大学大学院 美術研究科修士課程油画専攻 修了 |
1986.3 | 同大学大学院 美術研究科博士後期課程美術専攻 修了 |
1987.3 | 『メッセージのゆらぎ』(作品篇・論攷篇)により学位取得(学術博士/東京芸術大学・博美6号) |
1995.4~1996.3 東京芸術大学 美術学部絵画科 非常勤講師 | |
1996.4 | 東京学芸大学 教育学部美術科 助教授(2004.4 教授) |
2011.3 | 東京学芸大学 教育学部美術科早期退職 |
現在 | 東京都あきる野市に在住 無所属 |
個展
1978.9 | 「中間構造」東京芸術大学アトリエ/東京・上野 |
1983.5 | 「レスポアール・新人選抜展」 銀座スルガ台画廊/東京・銀座 |
1983.11 | 「河村正之展」 紀伊國屋画廊/東京・新宿 |
1984.12 | 「河村正之展」 銀座スルガ台画廊/東京・銀座 |
1987.10 | 「河村正之展」 パレット画廊/山口・徳山 「画廊企画第17回シリーズ展・メッセージのゆらぎ」 紀伊國屋画廊/東京・新宿 |
1988.10 | 「河村正之展」 パレット画廊/山口・徳山 |
1988.11 | 「河村正之展」 イマヰ画廊/広島・福山 |
1988.12 | 長期信用銀行吉祥寺店/東京・吉祥寺 |
1990.8 | 「河村正之の世界」 長期信用銀行吉祥寺店/東京・吉祥寺 |
1990.10 | 「河村正之展」 ぎゃらりいセンターポイント/東京・銀座 |
1990.11 | 「河村正之展」 ギャラリーなつか/東京・銀座 |
1991.1 | 「河村正之展」 パレット画廊/山口・徳山(第3回) |
1994.1 | 「途上の景-Ⅰ」 あかね画廊/東京・銀座 |
1994.5 | 「途上の景-Ⅱ」 銀座スルガ台画廊/東京・銀座 |
1994.11 | 「途上の景-Ⅲ」 パレット画廊/山口・徳山 |
1996.1 | 「KAWAMURA MASMYUKI 1979~1995 両手を叩いて鳴る音はわかる しかし片手を叩いて鳴る音はなにか」 横浜ガレリア ベリーニの丘キャラリー/神奈川・横浜 |
1997.9 | 「銀化・アジール・虹、その他」あかね画廊/東京・銀座 |
1997.11 | 「銀化・アジール・虹、その他」 パレット画廊/山口・徳山 |
1999.12 | 「黄昏の領域」 あかね画廊/東京・銀座 |
2000.1 | 「黄昏の領域」 防府市民交流センター・アスピラート/山口・防府 |
2001.10 | 「窓のむこうがわ」 河村正之展 パレット画廊/山口・徳山 |
2002.12 | 「河村正之展」 あかね画廊/東京・銀座 |
2004.10 | 「夢の結晶」 パレット画廊/山口・徳山 |
2005.12 | 「河村正之展」 あかね画廊/東京・銀座 |
2007.11 | 「世界の調べに耳を澄ます―旅の記憶」 パレット画廊/山口・周南 |
2009.11 | 「・・・異郷へ・・・ 河村正之展」あかね画廊/東京・銀座 |
2011.4 | 「水晶へ―あるいは異郷へ」 パレット画廊/山口・周南 |
2012.10 | 「ものがたり-Ⅰ河村正之展」 あかね画廊/東京・銀座 |
2013.11 | 「河村正之展 ものがたり-Ⅱ」 あかね画廊/東京・銀座 |
2014.4 | 「河村正之展 ものがたり」 パレット画廊/山口・周南 |
2015.3 | 「河村正之展」 光画廊/東京・銀座 |
主な企画展およびグループ展など
1979.4 | 「座標測定実験室ゼミ・実習」 東京芸術大学演習室/東京・上野 |
1979.8 | 「GROUP GROPE 展」 真和画廊/東京・銀座 |
1980.12 | 「岡本命久・河村正之展」 1980.12 ギャラリー タマヤ/東京・銀座 |
1984.6 | 「黄金調和線上の蕩児たち-新たな象徴へ」 田村画廊/東京・神田 「The View of Center Point」 ぎゃらりいセンターポイント/東京・銀座 |
1985.6 | 「山口の現代美術‐Ⅲ」 山口県立美術館/山口・山口 |
1985.7 | 「絵画法」 ギャラリーなつか/東京・銀座 |
1986.3 | 「第29回安井賞展」 西武美術館、他/東京・池袋、他 |
1986.8 | 「Image Machine‐ニューウェイヴの生成変化」 Gアートギャラリー/東京・銀座 |
1987.9 | 「第4回伊藤廉記念賞展」 名古屋日動画廊/東京・名古屋 |
1988.7 | 「絵画からの展開」 所沢西武コミュニティーギャラリー/埼玉・所沢 |
1989.12 | 「ドローイングの原系」 ギャラリーなつか/東京・銀座 |
1990.5 | 「テンペラの今日」 銀座スルガ台画廊/東京・銀座(1992、1996も) |
1991.7 | 「0号の世界」展 日本橋三越美術サロン/東京・日本橋(1992、1994も) |
1992.10 | 「日本海美術展」 富山県立美術館/富山・富山 |
1995.1 | 「第1回山口県在住・出身作家小品展」 パレット画廊/山口・徳山(以後2013まで毎年) |
1998.3 | 「テンペランド」 アートギャラリーもりもと+安田美術/東京・銀座 |
1998.4 | 「1998ミューズ春の美術展」 所沢市民文化センター ミューズ ザ・スクウェア/埼玉・所沢 |
1999.3 | 「Le cheiminn(ル・シュマン)未来へ」 ギャラリー星雲/東京・六本木 |
1999.7 | 「俊英作家小品展」 スルガ台画廊/東京・銀座 |
2000.6 | 「ふれあうアート ひろがるアート」展 三鷹芸術文化センター/東京・三鷹 |
2002.8 | 「JAPAN KOREA AMERICA 2002 ART Exhibition 日韓米交流2002現代美術企画展」 O美術館/東京・品川 |
2003.2 | 「熱・東風 絵がある」展 みゆき画廊/東京・銀座 |
2003.3 | 「東洋気流 日本現代家21人展 in Shanghai 」展 上海華氏画廊/上海・中国 |
2004.5 | 「セッション・風の源―『絵』に捕まってしまった男たち」 みゆき画廊/東京・銀座 |
2006.11 | 「山繭主義」 スピカ・ミュージアム/東京・青山 |
2008.11 | 「夢の彩」 パレット画廊/山口・周南 |
2010.2 | 「タテモノ・フウケイ展」 あらかわ画廊/東京・京橋(2012も) |
2010.8 | 「宮里明人(+MASAYUKI KAWAMURA)作品展」 ギャラリーバーン/栃木・那須塩原 |
2012.5 | 「さまようまなざし―それぞれのドローイング」 あかね画廊 |
2015.9 | 絵画展「秌韻」 数寄和/東京、滋賀 |
2016.1 | 「第2回 睦月展」 パレット画廊 |
2017.5 | 「散策展」 うしお画廊 |
著書
『メッセージのゆらぎ』(1987年 博士学位論文+作品集 私家版)
『黄昏の領域-河村正之展』(「黄昏の領域-河村正之展」図録 共著) (1999年 防府市文化財団編集・河村正之を囲む会発行)
『山書散策 埋もれた山の名著を発掘する』(2001年 東京新聞出版局)
『水晶録 河村正之作品集』(2011年 私家版)
『手と眼の師 -それぞれの「わが師 田口安男」』(共編著)(2014年 「手と眼の師」発行委員会)
展示風景