数寄和 |
2017/10/11(水) – 10/18(水) |
数寄和では2015年に河村正之、岸本吉弘、細川貴司、吉川民仁の4名による絵画展「秌韻」を開催しました。
今展はその続編として、4作家の個展を連続して開催します。
絵画展「秌韻」に寄せて
ジャクソン・ポロック《Autumn Rhythm(秋のリズム)》という名作がある。作家が付けた題名は《Number 30》と素気なかったが、10月の作であることからこの詩的なタイトルが付加された。黒、白、茶色の塗料の滴りが、画面全体に律動する抽象絵画。そこに秋空の明るい陽射しや紅葉する木立のざわめきを連想したとしても、あながち誤りとはいえない。奥行きのない平坦な色面だからこそ、広がる大地や無限の宇宙を感じさせてくれる。日本画のような花鳥風月といった主題を描かなくとも、自然の本質に迫る方法はいくらもあるのだ。数寄和「秋韻」で展観される4人は、いずれも油絵から出発し、絵画の成り立ちに遡ることで、それぞれの世界を開拓してきた画家である。彼らに比較的共通するのは、絵画の表面が放つリアリティへの関心であろう。透視法的な空間を前提とせず、表層としての物質から立ち上がる視覚的体験が重視される。これらの絵画に垣間見える自然と対話できることが楽しみである。
武居利史(府中市美術館学芸員・美術評論家)
Ⅲ期では岸本吉弘の作品を展示いたします。
是非お越しください。
「赤のしるし」 650 × 530㎜ (15号) キャンバス、油彩、蜜蝋 2017年
岸本吉弘 KISHIMOTO , Yoshihiro
1968 | 兵庫県神戸市生まれ |
1992 | 武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業 |
1994 | 武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻修了 |
1998 | 文化庁芸術インターンシップ研修員 |
2001 | 大和日英基金の助成によりロンドンにて滞在制作 |
2013 | ルース・カッツマン奨学金の助成によりニューヨークにて滞在制作 |
現在 | 神戸大学大学院准教授 |
主な個展
1991 | Gアートギャラリー(東京) |
1992 | かねこ・あーとG1(東京) |
1995 | ギャラリィK(東京)[’96] |
1997 | ウインドーギャラリー(東京) |
1998 | ギャラリーαM(東京) |
1999 | ギャルリームカイ(東京) |
2001 | トアギャラリー(兵庫) |
2002 | トアロード画廊(兵庫)[’04,’05,’08,’10,’14] かわさきIBM市民文化ギャラリー(神奈川) |
2003 | ギャラリーラ・フェニーチェ(大阪) |
2006 | 西脇市岡之山美術館アトリエ(兵庫) |
2007 | 甲南大学ギャルリーパンセ(兵庫) |
2008 | アスタくにづか2番館特設会場(兵庫) |
2009 | 奈義町現代美術館(岡山) 海岸通ギャラリーCASO(大阪) |
2011 | gallery COEXIST(東京) |
2013 | ギャラリー白・ギャラリー白3(大阪)[’15] |
2014 | オープン・スタジオVYT(ニューヨーク) +Y Gallery(大阪) |
2016 | ギャラリーあしやシューレ(兵庫) |
2017 | 雅景錐(京都) |
主なグループ展など
1990 | コンテンポラリーアート・エキスポ東京’90(原宿クエストホール・東京) |
1994 | 現代美術新進作家展(網走市立美術館・北海道) |
1996 | 現代日本美術展(東京都美術館・東京/京都市美術館・京都) |
1998 | EARLY-WORKS 始点(ギャルリームカイ・東京) |
2001 | VOCA -現代美術の展望(上野の森美術館・東京)[’04] |
2002 | 「こころのパン」日本現代美術展(’05にかけてトルコ主要5都市巡回) |
2003 | party(CAPHOUSE・兵庫)[’06] |
2004 | ペインタリネス(ギャラリー白・大阪)[’06,’13,’14 ,’15,’16,’17] |
2005 | 兵庫国際絵画コンペティション(兵庫県立美術館・兵庫) |
2006 | 見ること/作ることの持続-後期モダニズムの美術-(武蔵野美術大学美術資料図書館・東京) |
2009 | 表層の冒険者達(ギャラリー石田・東京/exhibit live&Moris Gallery・東京) 神戸大学発達科学部B棟壁画制作(タイルモザイク)設置 Link-しなやかな逸脱 神戸ビエンナーレ招待作家展(兵庫県立美術館・兵庫) |
2011 | 空間をめぐる四つの対話(熊本県立美術館分館展示室・熊本) |
2012 | COMPOSED(COOHAUS・ニューヨーク) |
2013 | 所蔵品展(愛知県美術館・愛知) |
2015 | コレクションⅢ 辰野登恵子と日本の抽象絵画(国立国際美術館・大阪) アート大阪(ホテルグランヴィア・大阪) ART FAIR ASIA/FUKUOKA 2015(ソラリア西鉄ホテル・福岡) 絵画展「秋韻」数寄和(東京・滋賀巡回) 下町芸術祭 with PAINTER(神戸新長田エリア、神戸市立地域人材支援センター・アスタくにづか1番館1階・神戸) 神戸ビエンナーレ2015 兵庫・神戸の仲間たち展(BBプラザ美術館・兵庫) |
2016 | 大阪御堂筋アート(梅新第一生命ビルディング・大阪) Boy’s Drawing(ギャラリー白・大阪) |
2017 | ファースト・アクション(雅景錐・京都) |
受賞など
1990 | コンテンポラリーアート・エキスポ東京’90」 奨励賞 |
1991 | 第5回 ホルベインスカラシップ奨学生 |
1992 | 卒業制作優秀賞 |
1994 | 修了制作優秀賞 |
1997 | 「現代日本美術展」 大原美術館賞 |
2003 | 兵庫県芸術奨励賞 第17回 ホルベインスカラシップ奨学生 |
2005 | 資生堂ADSP |
2008 | 神戸長田文化賞 |
2009 | 神戸市文化奨励賞 |
コレクション
愛知県美術館/大原美術館/国立国際美術館/神戸市/神戸大学/トルコ・デェルメンデレ市
2017年秋口に著作集「絵画-新たな物語のために」発刊予定
展示風景